(1)連結部材、取付け部が損傷しない制震装置(制震装置BRD)
(特許第5475847号

ネクスコ設計要領(2023年10月)では異なる履歴特性のダンパーの併用はできなくなりました。
例えば履歴減衰系のLRB支承や高減衰ゴム支承を有する橋梁では粘性減衰系のダンパーは
併用できなくなります。併用の減衰効果が確認されていないと記されています。
以下に示すように制震装置BRD
履歴減衰系ですのでLRB支承や高減衰ゴム支承を有する橋梁と併用できます。

BRD制震装置は図-1に示すように、座屈拘束低降伏点鋼とスライド装置からできています。

brd
                           図-1 BRDの構造

1. 座屈拘束低降伏点鋼は橋に作用する地震力を大幅に軽減します。
①のリンクをご覧ください。

①座屈拘束低降伏点鋼の特徴

2. スライド装置は座屈拘束低降伏点鋼が、常時の温度変化、クリープ、乾燥収縮で
桁の変形を妨げないために設けます。
またレベル2地震後、座屈拘束低降伏点鋼の残留変形を吸収し、橋梁が地震前の位置に
戻るようにします。

スライド装置には②のリンクに示すように様々な重要な役割があります。

② スライド装置の役割

残留変形については以下のリンクに記載してあります。

座屈拘束低降伏点鋼により発生する構造物の残留変形

3. 座屈拘束低降伏点鋼は上限強度が規定されているので、巨大地震時、上部工慣性力
から下部構造に伝達する力を一定値に調整できます。
したがって、想定外の巨大地震でも下部構造が滑動、倒壊することはありません。

4. BRDは橋の固有周期に関係なく、高い減衰性能を発揮します。
これを高い減衰性能を発揮するのに、周波数依存性がない、
または振動数依存性がないと言います。
詳しくはリンク③をご覧ください。

③ BRDと粘性ダンパーの減衰性能比較

5.したがって複数の地震動の周波数(振動数)に対して卓越モードがある斜張橋,つり橋や
高橋脚ラーメン橋などの地震応答が複雑な橋梁に対して効率的な耐震補強ができます。
以下のリンクに説明がされています。


⑨卓越振動数と構造物の応答


6. BRDは動的繰返し試験により、その性能が確認されています。
詳しくはリンク④をご覧ください。

④動的繰返し試験

7.BRD制震装置の具体的な取付け手順についてはリンク⑤に記載されています。

⑤BRD制震装置の具体的な取付け手順


8.一般社団法人 日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所
「座屈拘束型ダンパーガイドライン委員会運営業務報告書
(平成29年4月)
に詳しく記載されております。