② スライド装置の役割

1) 座屈拘束低降伏点鋼は大きな減衰効果が得れる半面、塑性変形ですので、
図-1に示すように除荷時の残留変形も大きくなります。
つまり地震終了時、座屈拘束低降伏点鋼は当初の長さより短いかまたは長くなります。
座屈拘束低降伏点鋼のみを取り付けた構造物では地震終了後の形状は地震前と異なります。
このような不都合を防止するためBRDではスライド装置が取り付けられています。
残留変形については以下のリンクに記載されています。

座屈拘束低降伏点鋼により発生する構造物の残留変形
    

  brd3

図-1 座屈拘束低降伏点鋼の軸力-軸方向変位履歴曲線

2) スライド装置は図-2に示すように座屈拘束低降伏点鋼に直列に取付けます。

brd damper

             図-2 スライド装置の概念図

地震終了後、座屈拘束低降伏点鋼が塑性変形し、長さが当初と変わった場合でも、
スライド装置がそれを吸収して、構造物には塑性変形の影響が及ばないようになっています。
つまりピストンヘッドがスライド装置の中心からずれることになります。

3) スライド装置には常時の温度変化、クリープ、乾燥収縮で桁の変形を妨げない役割もあります。

4) レベル1地震では座屈拘束低降伏点鋼に地震荷重が作用しないようにします。
  座屈拘束低降伏点鋼は降伏点を超えて一定回数の繰返し荷重を受けると破断するからです。
  BRDはレベル2地震のみに作用します。 


5) 座屈拘束低降伏点鋼はレベル2地震の繰返し回数では破損しないように設計します。