④ BRDと粘性ダンパーの減衰性能比較

1)BRDと粘性ダンパーの減衰性能比較を行いました。(参考文献 1)より)
図-1に示すように、レベル2地震動タイプⅠを入力します。
レベル2地震動タイプⅠとはプレート境界型の大規模な地震を想定した地震動です。

2) 減衰定数を0.05を有する1自由度系と固有周期0.5秒では最大応答変位が同じになるように
粘性ダンパーとBRDダンパーを選定しました。(図-2参照)


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        図-1 1自由度系の比較解析モデル

3) m を一定としk を漸減させることにより固有周期を変化させます。
図-2に示すように長周期になるにつれ、粘性ダンパーの減衰定数は大きくなるものの,
速度低下により効きが低下し,BRDの方が圧倒的に高い減衰性能を示すことがわかります。
つまりBRDは変位が大きくなるにしたがって等価減衰定数が大きくなることがわかります。

4) 粘性ダンパーには速度依存性がありますが、BRDの減衰性能には速度依存性がないことがわかります。
振動速度が遅いと長周期になり固有振動数は小さくなります。また振動速度が早いと短周期になり,
固有振動数の大きくなります。
したがって速度依存性は振動数依存性とも言われます。

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   図-2 BRDと粘性ダンパーの比較(レベル2地震動 タイプⅠ入力)

5) 図-3に示す名港西大橋の固有値解析の刺激係数から判明した卓越周期を表-1に示します。
(参考文献 2)によります。)
斜張橋は卓越周期が複数あり地震動の卓越周期と一致すると共振する振動モードが複数あることがわかります。
複数の振動モードに対して減衰力を有効にするためには振動数依存性のないBRDダンパーが適しています。
なお刺激係数及び橋と地震動の共振については以下のリンクに説明があります。

刺激係数とは


橋と地震動の共振とは


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                        図-3名港西大橋一般図


                      表-1名港西大橋卓越周期

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参考文献
1) 一般社団法人 日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所
「座屈拘束型ダンパーガイドライン委員会運営業務報告書
(平成29年4月)
p.Ⅳ-46

2)
建設省土木研究所 斜張橋の耐震性に関する研究 1987年3月