⑤BRD制震装置の具体的な取付け手順
図-1に示す3径間連続桁を例に説明します。
図-1 耐震補強対象の3径間連続橋
1) 対象の橋梁に非線形時刻歴地震応答解析をレベル1地震,レベル2地震に対して行います。
ここではレベル1地震に対しては耐震補強必要なし,レベル2地震に対しては許容塑性率を超え
耐震補強が必要とします。
2)許容塑性率を超える部材箇所がレベル2地震動に対して何回超えたか記録します。
回数は部材箇所により異なりますが、最大の回数を例えば5回とします。
3)図-2に示すようにBRD制震装置を取付けます。ここに,
はBRD制震装置の基数です。
スライド装置の長さを調整することによりBRD制震装置には常時及びレベル1地震では地震力が作用しないようにします。
図-2 BRD制震装置を取り付けたの3径間連続橋A
4)レベル2地震の桁に作用する慣性力H によりBRD制震装置の必要な基数を静的に計算します。
1基当たりの座屈拘束低降伏点鋼に作用する力は以下の通りです。
図-3に示すエネルギー一定則より座屈拘束低降伏点鋼に発生するひずみ
を推定します。繰返し回数5回に対する座屈拘束低降伏点鋼の許容ひずみレベルはメーカーにより
指定されていますのでその範囲内にあることを確認します。満足していない場合は基数を増やします。
エネルギー一定則については道路橋示方書・同解説ⅴ耐震設計編(平成14年3月)p316を参照ください。
図-3 エネルギー一定則
5)BRD制震装置の非線形要素を取り込んだ非線形時刻歴地震応答解析により
すべての構造部材が許容塑性率内にあること,座屈拘束低降伏点鋼が許容ひずみ内にあることを確認します。
そうでない場合はBRDの基数や座屈拘束低降伏点鋼の断面を増加します。
BRD制震装置の非線形履歴モデルは図-4の通りです。(参考文献①)
解析プログラムは開発され,実用化されています。
図-4 BRDの挙動と対応する履歴モデル
6)BRD制震装置の取付け部には座屈拘束低降伏点鋼の反力がかかりますので、必要ならリブ等で補強します。
ただし低降伏点鋼は上限強度が規定されていますので過大な力がかかることはありません。
参考文献
① 一般社団法人 日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所
「座屈拘束型ダンパーガイドライン委員会運営業務報告書」(平成29年4月)
p.22