⑦ 制震装置

制震装置には粘性ダンパーと鋼材ダンパーがあります。
粘性ダンパーとはシリンダーにオイルや粘性材料を入れて
その粘性抵抗で減衰力を得るものです。

鋼材ダンパーとはレベル2地震時,鋼材を降伏させることにより
地震応答の運動エネルギーを熱エネルギーに変換させることにより
減衰力を得るものです。このような減衰を履歴減衰と言います。

鋼材ダンパーには座屈拘束低降伏点鋼があります。
鉛プラグ入りゴム支承も鋼材ダンパー同様履歴減衰です。

鋼材ダンパーを改良して橋梁本体に残留変形を発生させない
制震装置BRDまたはBRD-W slideもあります。

各々の特徴は以下のとおりです。

1) 粘性ダンパー


ⅱ)αは製品に依存しますので,動的載荷試験により確認する必要がありますが,
地震時橋軸方向移動量の大きいつり橋,斜張橋,エキストラドーズト橋及び
多径間連続橋ではシリンダーのストローク長が非常に長くなり,既存の試験設備では
不可能な場合もあります。

ⅲ)式(1)より速度が小さいと減衰力が低下しますので,振動数により減衰性能が
変わります。これを振動数依存性(リンク参照)があると言います。
振動数が小さくなると減衰力が低下しますので長周期のつり橋や斜張橋など
の制震では不経済になります。

ⅳ)斜張橋など数個の卓越固有モードがある場合,長周期に対応して粘性ダンパー
を設置すると短周期では減衰力が大きくなりすぎてリリーフ弁を設けなければなり
ません。
数個の卓越固有モードに対して複数の粘性ダンパーを設けてリリーフ弁を作動させ
るのは複雑で不経済です。  

ⅴ)橋梁に残留変形は発生しないメリットがあります。。

ⅵ)粘性材料が有機物の場合長期劣化が避けられず,取り替えが必要です。

ⅶ)鋼材ダンパーにくらべて減衰力が小さく不経済です。

2) 鋼材ダンパー

ⅰ)橋梁に残留変形が発生します。以下のリンクを参照ください。
  残留変形
  

ⅱ)振動数により減衰性能が変わりません。
  以下のリンクを参照ください。
  振動数依存性


ⅲ)鋼材なので維持管理により長期耐久性が確保できます。

ⅳ)粘性ダンパーにくらべて減衰力が大きく経済的です。
  以下のリンクを参照ください。
  BRDと粘性ダンパーの減衰性能比較
  等価減衰定数

3) 制震装置BRD(リンク参照)またはBRD-W slide(リンク参照)

ⅰ)鋼材ダンパーと同等な減衰特性を有しますが,スライド装置または
  スライドピンの導入により橋梁本体の残留変形をなくします。

ⅱ)制震装置BRD,BRD-W slideはクレビスにより橋軸方向,橋軸直角方向の
  制震に有効です。

ⅲ)BRD-W slideは更に鉛直方向の制震にも有効です。 
  斜張橋のような鉛直方向に卓越するモードがある場合の制震に効果的です。

ⅳ)振動数により減衰性能が変わりません。
  以下のリンクを参照ください。
  振動数依存性


ⅴ)鋼材なので維持管理により長期耐久性が確保できます。

  詳しくはリンクを参照ください。