⑪ 波形鋼板によるI型コンクリート橋脚の耐震補強

図-1に示すようなI型橋脚では中央の薄板部分がせん断破壊する可能性があります。
薄板は橋軸方向の曲げ剛性を緩和するために設けられていますので
曲げ剛性を変えずに耐震補強する必要があります。

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                  図-1 I型橋脚


このような場合図-2に示すように波形鋼板巻き立て工法を用いると橋軸方向剛性を変えずに耐震補強できます。
理由は以下のようです。
①波形鋼板自体がせん断耐力を有しているので、中央部分のコンクリート部分に接触していなくても
波形鋼板はせん断耐力を発揮します。
必要な波形鋼板断面は以下のリンクにより求めることができます。

波形鋼板の断面決定法


②波形鋼板はアコーデオン効果を有するので橋軸方向の橋脚剛性は変わりません。
アコーデオン効果については以下のリンクに記載されています。

アコーデオン効果

③中央の薄板は橋軸直角方向地震時水平力が図心に作用するときよりも偏心して作用する時の方が
せん断力に対して脆弱であることが検証されています。ねじりせん断が発生するためで,大規模載荷試験,
三次元有限要素法有限変形解析でも確認されています。地震力は一般的には偏心して作用します。
波形鋼板にはフランジを設け形鋼にボルト留めされています。
I型橋脚は形鋼を介して波形鋼板で囲まれていますので,橋脚のねじり剛性も大幅に向上します。
橋脚のせん断変形のみならずねじりせん断に対しても大規模地震に対して十分なじん性を有することが
大規模載荷試験,三次元有限要素法有限変形解析で確認されています。
以下のリンクに説明があります。


波形鋼板巻立て工法ははそり、ねじりに対して高度な耐震性能を有する。


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         図-2 波形鋼板巻き立て工法によるI型橋脚の耐震補強