⑥-2 曲げ損傷からせん断破壊移行型橋脚の補強

図-1に示すような橋脚に水平荷重が漸増して作用した場合,図-3に示す荷重-変位図で
塑性領域に入りますと塑性ヒンジが形成され荷重は増加せず曲げひび割れが発生します
曲げひび割れが進行しますと,図-2に示すようにせん断変形に抵抗する断面積が小さくなり
せん断耐力が急激に低下し、せん断破壊が発生することがあります。
これを曲げ損傷からせん断破壊移行型と呼びます。
正負の交番応力が繰り返す場合に顕著に見られます。
地震力に対してせん断鉄筋やフープ筋などせん断抵抗筋が十分でない場合に発生します。
この不足分を波形鋼板で補います



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     図-1 曲げせん断破壊型の橋脚     図-2 橋脚の破壊部のせん断変形



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図-3 曲げ損傷からせん断破壊移行型橋脚の荷重-変位図

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補強方法は以下のリンクに記載されています。

波形鋼板の断面決定法

 

なお曲げ破壊型の橋脚に波形鋼板を巻き立てると拘束効果によりじん性が大幅に向上することが
大規模載荷試験で検証されています。下記のリンクを参照下さい。

②波形鋼板巻立て工法ではなぜ曲げに対するじん性が向上するか

波形鋼板を巻き立てた橋脚は大規模載荷試験結果によると三次元非線形有限要素法有限変形解析で
シュミュレーションできることが検証されています。
解析プログラムは実用化されており,塑性率なども求めることができます。

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   図-4 曲げ破壊型橋脚の荷重-変位図

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  図-1 曲げ破壊型の橋脚