④フーチングと波形鋼板の間になぜ間隙は不要か

1) これまでの鋼板巻立て工法では、以下の2)に示すように、鋼板下部と
フーチング上面の間に間隙(50~100mm)が必要でした。
一方,波形鋼板巻き立て工法は
図-1に示すように、鋼板下部とフーチング上面の
間に間隙を設けず、波形鋼板を隙間なくフーチングに固定します。
波形鋼板はアコーデオン効果を有しているので橋脚躯体の曲げ耐力は巻き立て前と
同一です。
したがって、間隙を作らなくても基礎へ伝達される地震力は増加しません。
間隙がないので、大きな拘束効果を発揮でき,コンクリートの劣化防止にもなります。
アコーデオン効果については次のリンクをご覧ください。

アコーデオン効果

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      図-1 波形鋼板巻き立て工法

2)既存の鋼板巻き立て工法

ⅰ)これまでの鋼板巻立て工法では、図-2に示すように、鋼板下部とフーチング上面の
間に間隙(50~100mm)が必要です。

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    図-2 鋼板巻き立て工法

ⅱ)鋼板を隙間なくフーチングに固定した場合は基礎へ伝達される地震力による
曲げモーメントは大きくなり基礎の補強が必要となる場合があるからです。

ⅲ)大きな地震力を受けた場合に,間隙にに塑性ヒンジを発生させます。
鋼板巻立てによる拘束を受けた状態でじん性のある曲げ破壊を発生させる
ためです。この間隙は 50~100mm 程度とされています。

ⅳ)これで十分なじん性が確保されない時には、アンカー筋を用います。
アンカー筋は,橋脚の曲げ耐力向上を図るとともに,フーチングに伝達される
地震力をコントロールする役目を担っています。

ⅴ)アンカー筋の本数および径を調整することで補強による橋脚躯体の
曲げ耐力の増加を制御することができ,全強で鋼板をフーチングに固定する場合
よりも基礎へ伝達される地震力は小さくなるからです。