③BRD落橋防止装置とPC鋼線落橋防止装置の比較

1) 参考文献①によると図-1に示すようにPC鋼線落橋防止装置の実測の破断荷重は
規格値の引張強度より大幅に大きいことがわかっています。
またメーカーによりバラツキがあります。PC鋼線には上限強度の規定がないからです。

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  図-1 PC鋼線落橋防止装置の一様引張試験

2)熊本地震(2016.4.14,4.16)ではPC鋼線の強度が過大なため取付部が破損する
事例が発生しました。したがって取付部の耐力を増強する必要があります。

3)しかし取付け部の耐力が過大だと不測の地震に対してPC鋼線が破断します。
PC鋼線は図-1に示すようにじん性に乏しく破断荷重に達するとまもなく破断し、
落橋につながります。

4)取付け部とPC鋼線をバランスよく設計することは困難です。なぜならば、取付け部を構成する
鋼材やコンクリートまたPC鋼線には上限強度の規定がなく、かつ実測耐力にはバラツキがあるからです。


5)このような問題を解決するためPC鋼線の代わりに図-2(参考文献②より引用)に示すような
低降伏点鋼を使用します。
低降伏点鋼には上限強度が規定されており、取付け部に想定以上の力がかからないので取付け部が
破損することはありません。。
低降伏点鋼については詳しくは下記のリンクを見てください。


座屈拘束低降伏点鋼の特徴


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            図-2 低降伏点鋼の引張試験

6)想定外の地震に対しても低降伏点鋼は図-2に示すように50%程度までじん性があり
低降伏点鋼の断面設定で伸びを50%程度に抑制すれば低降伏点鋼が破断することはありません。
つまり落橋することはありません。

参考文献
①落橋防止構造に関する研究委員会平成15年度報告書
,平成16年3月
(財)土木研究センター

「座屈拘束型ダンパーガイドライン委員会運営業務報告書」(平成29年4月)

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