⑩ラーメン高架橋横はりの耐震補強
2022年3月16日福島県沖を震源とする地震で東北新幹線の高架橋の横はりには
図-1に示すような斜めひび割れが報道されました。
これは節点付近における曲げモーメントの急変による曲げによるせん断ひび割れと考えられます。
したがって横はりにはせん断耐力を増加させることが必要ですが
鋼板巻立てやコンクリート巻立てを行うと横はりの剛性が大きくなるため
周囲の部材に応力が集中し、周囲の部材に損傷が発生する可能性があります。
炭素繊維などの巻立て工法では炭素繊維とコンクリート面の付着力が必須ですが,
コンクリートの中性化などでコンクリート表面が経年劣化し、せん断ひび割れ制御に必要な炭素繊維と
コンクリートの間の十分な付着力を確保できない可能性があります。
参考文献1)には炭素繊維の剥離例が多数報告されています。
参考文献
1) 北海道における繊維シート接着コンクリートの変状調査
内藤 勲, 田口 史雄,, 野々村 佳哲 ,寒地土木研究所月報 No.692 2011年1月
図-1ラーメン高架橋横はりのせん断ひび割れ
このような問題を解決する方法として、波形鋼板巻立て工法があります。
図-2に示すように横はりの周囲に波形鋼板を巻くと
せん断耐力は大幅に向上しますが曲げ剛性は波形鋼板の
アコーデオン効果により増加しません。
波形鋼板にはフランジを溶接し,鉛直方向と水平方向の波形鋼板は
フランジを形鋼にボルト留めします。
波形鋼板巻立て工法では波形鋼板とコンクリート面の付着力は必要ありません。
波形鋼板が独立してせん断抵抗力を発揮するからです。
なお波形鋼板を巻くと曲げに対するじん性も向上し、曲げ破壊にも効果的です。。
以下のリンクに説明があります。
波形鋼板巻立て工法ではなぜ曲げに対するじん性が向上するか
図-2 波形鋼板巻き立てによる横はりのせん断補強