(10)中央分離帯に位置するロッキング橋脚基礎の耐震補強法(KD式狭小基礎補強法)
(特許第6222791号)
平成28年熊本地震ではロッキング橋脚が大きく損傷を受けました。
「平成28年度 国総研講演会」によれば、ロッキング橋脚の耐震補強の考え方は
「RC巻き立てによる壁化」が基本となっています。
「RC巻き立てによる壁化」の際に、次のような課題が基礎に生じます。
1) ロッキング橋脚の基礎は旧耐震基準で設計されており、現行示方書を満足していない。
2) ロッキング橋脚の基礎は建設後、数十年経過しているものが多く、経年劣化している。
3) ロッキング橋脚の基礎には「RC巻き立てによる壁化」による死荷重の大幅な増加、
曲げモーメント、せん断力、ねじりモーメント等が新たに発生する。
4) ロッキング橋脚は基礎をコンパクトにできることから図-1に示すように中央分離帯に施工されていることが多く
狭小で基礎の補強が難しい。。
図-1 中央分離帯に位置するロッキング橋脚の例
鋼管矢板単列施工法による課題の解決
① 鋼管矢板を図-2に示すように中央分離帯に基礎に直列に単列配置する。
中央分離帯は拡幅しない。
図-2 鋼管矢板を中央分離帯に直列配置
② 上部工支承の縁端距離が不足する場合は図-2中の鋼管18を橋脚高さとし、
壁化の一部に取り込む。
③ 既施工の基礎と鋼管矢板を図-3に示すように一体化する。
基礎の形状に応じて以下の方法を使い分ける。
③-1 既施工基礎の端部を鉄筋が露出するまではつり出し既鉄筋と新鉄筋を
ラップさせてコンクリートを打設しフーチングを築造する。
③-2 鉄筋のラップ強度が不十分なら既鉄筋間にPCアンカーを設けPC鋼材で一体化する。
③-3 鋼製型枠を用いて新・旧フーチングを一体化させる。
図-3 鋼製型枠を用いた基礎の築造
④ 一体化したフーチング上に図-4に示すように壁式橋脚を築造する。
図-4 壁式橋脚の築造
型枠としては脱型するものを用いてもよいですが、鋼板特に波形鋼板を用いることにより、
せん断耐力が増加するので壁式橋脚の壁厚を薄くでき死荷重を低減できます。